自費出版・商業出版・自己出版の違いとは?初心者向け選び方ガイド

「本を出してみたいけれど、自費出版とか商業出版とか、いろんな言葉があってよく分からない」そんな風に感じていませんか。初めて本を出そうと思ったとき、どの方法を選べばいいのか迷ってしまうのは当然です。この記事では、3つの出版方法の違いと、あなたに合った選び方を分かりやすくお伝えします。ひとつずつ整理していけば、きっと次の一歩が見えてきますよ。

自費出版・商業出版・自己出版って何が違うの?

本を出版する方法は、大きく分けて3つあります。まずは全体像をつかんでおきましょう。

商業出版は、出版社があなたの企画を気に入って「この本を出しましょう」と声をかけてくれる方法です。出版社がお金を出し、編集者やデザイナーなどのプロが本づくりを担当します。書店に並ぶ多くの本がこの方法で作られています。

自費出版は、あなたがお金を出して、編集者やデザイナーなどのプロに本づくりをお願いする方法です。費用はかかりますが、プロの技術で質の高い本を作ることができます。

自己出版(セルフパブリッシング)は、あなたが費用も制作も担当する方法です。最近では数千円から始められるサービスも増えて、個人でも気軽に本を出せるようになりました。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。

商業出版:出版社がお金を出してくれる方法

商業出版は、出版社が「この本は売れそうだ」と判断して、費用を負担してくれる出版方法です。

最大のメリットは、あなたがお金を出さなくていいことです。編集、デザイン、印刷、流通まで、すべて出版社が手配してくれます。プロの編集者がついて原稿をブラッシュアップしてくれますし、全国の書店に本が並ぶ可能性もあります。印税という形で収入を得ることもできるでしょう。

ただし、企画が通るのはなかなか大変です。出版社は「売れる本」を求めているので、よほど魅力的な企画でないと採用されません。また、出版社の意向が強く反映されるため、あなたの思い通りの本にならない場合もあります。

商業出版に向いているのは、すでに専門分野で実績があったり、SNSで多くのフォロワーがいたりする方です。まずは自分の専門性を高めて、出版社に「この人の本なら売れそう」と思ってもらえる状況を作ることが大切ですね。

自費出版:お金を出して編集者にお任せする方法

自費出版は、あなたが費用を負担して、編集者やデザイナーなどのプロに本づくりをお願いする方法です。

プロが関わるので、商業出版と同じような品質の本を作ることができます。あなたの意向を反映しやすく、「こんな本にしたい」という希望を形にしやすいのも魅力です。完成した本は書店での取り扱いも可能で、しっかりとした流通に乗せることができます。

気になるのは費用でしょう。一般的には数十万円から数百万円かかることが多く、内容や部数によってはさらに高額になる場合もあります。また、在庫を抱えるリスクもあるので、「何冊売れるかわからない」という不安を感じる方も多いかもしれません。

自費出版が向いているのは、ある程度の予算があって、プロの力を借りて質の高い本を作りたい方です。記念誌や専門書など、「きちんとした本として残したい」という想いが強い場合におすすめです。

自己出版(セルフパブリッシング):少額で自分で作る方法

自己出版は、費用も制作もあなたが担当する、最もハードルの低い出版方法です。

最近ではMyISBNのようなサービスを使えば、数千円の費用だけで本を出版できるようになりました。在庫を持つ必要がなく、注文が入ってから印刷する「オンデマンド印刷」なので、リスクを最小限に抑えられます。料金や条件は変わるので最新情報は公式サイトを確認してください。

あなたの思い通りの本を作れるのも大きな魅力です。内容、デザイン、価格まで、すべて自分で決められます。AmazonやMyISBNを通じて全国に流通させることも可能で、「自分の本が書店で取り寄せできる」という体験は、きっと特別なものになるでしょう。

自己出版は自ら手を動かす必要がありますが、必要なところだけプロの手を借りることで、大きな予算をかけずに満足な書籍を作ることができるサービスです。たとえば、MyCoverを使えば2万円でプロに表紙デザインだけを頼むことも可能です。また、動画マニュアルがあるので、Wordなどの操作が苦手でも操作できます。全くWordなどが使えない場合は、文字入力だけで紙の本が出版できるPubooなどを使うとよいでしょう。

自己出版は、「まずは本を出す体験をしてみたい」「費用を抑えて気軽に始めたい」という方にぴったりです。

あなたに合った出版方法を選ぶための3つのポイント

どの出版方法を選ぶか迷ったときは、次の3つのポイントを考えてみてください。

1つ目は予算です。 商業出版なら費用はかかりませんが、企画が通る可能性は低めです。自費出版は数十万円以上、自己出版なら数千円から始められます。「いくらまでなら出せるか」を最初に決めておくと、選択肢が絞りやすくなります。

2つ目は、どこまで自分でやりたいかです。 「プロにお任せしたい」なら商業出版や自費出版、「自分でコントロールしたい」なら自己出版が向いています。パソコン作業ができるかどうかも判断材料になるでしょう。

3つ目は、本を出す目的です。 趣味や記念なら自己出版、ビジネスや専門性のアピールなら自費出版や商業出版を検討してみてください。「とりあえず本を出してみたい」という気持ちなら、まずは自己出版から始めるのもおすすめです。

この3つを整理すれば、あなたに合った方法が見えてくるはずです。

商業出版・自費出版・自己出版の比較表

項目商業出版自費出版自己出版(セルフパブリッシング)
費用負担・著者の自己負担なし(出版社が費用を負担)
・印税収入が見込める
・著者が費用を負担
・相場は数十万~数百万円程度(内容・部数で変動)
・在庫を抱える可能性あり
・著者が費用も制作も担当
・数千円程度から始められるサービスもある(例:MyISBN
・基本は在庫不要(オンデマンド印刷)
制作体制・出版社が編集者・デザイナー・流通を手配
・全国の書店に並ぶ可能性がある
・プロ編集者と原稿をブラッシュアップ
・編集者・デザイナーなどプロに依頼できる
・商業出版並みのクオリティで制作可能
・マニュアルを見ながら原稿作成・デザインを自分で行う
・必要な部分だけスポットでプロ依頼可(例:表紙だけMyCoverで約2万円)
・PCが苦手であれば、文字入力だけで出せるサービス(例:Puboo)も活用可
主なメリット・お金を出さずに出版できる
・品質・流通ともに高い水準
・著者の知名度や信頼性の向上につながる
・自分の意向を反映しやすい(本の内容・見せ方をコントロールしやすい)
・「ちゃんとした本」を残せる
・低コストではじめやすい
・在庫リスクなし(注文後印刷)
・内容/デザイン/価格をすべて自分で決められる高い自由度
・Amazonや楽天ブックスを通じて全国流通・取り寄せ可能
主なデメリット / リスク・企画が採用されるハードルが高い(「売れる本」重視)
・出版社の意向が強く、内容が自分の思い通りにならない場合がある
・まとまった費用が必要
・どれだけ売れるか不透明
・在庫リスクがある
・Amazonや書店では販売できず基本は著者の手売り
・詐欺なども多い
・基本は自分で手を動かす必要がある
・適当に作ると品質に差が出る
向いている人・目的・専門分野で実績がある人
・SNSなどで影響力がある人
・ビジネス/専門性を広くアピールしたい人
・記念誌・社史・専門書などをきちんと形に残したい人
・予算はあるが制作物の品質には妥協したくない人
・「まずは本を出す体験をしたい」人
・費用をできるだけ抑えたい人
・趣味・記念・個人の表現として本を残したい人

まずは小さく始めて、次のステップを考えよう

「どれにしようか迷う」という方には、まず自己出版から始めることをおすすめします。

少ない費用で本を出す体験ができるので、「本当に本を作れるんだ」という実感を得られます。読者の反応を見ながら、「次はもっと本格的に作ってみよう」と自費出版や商業出版を検討することもできるでしょう。

自己出版でも数百万円の印税を受け取ったり、自己出版がきっかけで商業出版から声がかかることもあります。

完璧を目指さず、まず一歩を踏み出すことが大切です。最初の本は練習だと思って、気軽にチャレンジしてみてください。本を出すという体験そのものが、きっとあなたにとって大きな財産になるでしょう。

この記事を書いた人