「本を出版したい」と検索しているあなたは、きっと今、自分の名前の入った一冊を思い描いているのだと思います。その気持ちは、とても自然で素敵なものです。
ただ、いざ進めようとすると「方法がいくつもあって、何から決めればいいのかわからない」と立ち止まってしまう方が少なくありません。そこでこの記事では、本を出版する方法を大きく5つに整理し、それぞれの費用の目安と「自分にはどれが合うのか」を選ぶ軸を、はじめての方にもわかるようにまとめました。
先に結論からお伝えすると、出版方法は商業出版・自費出版・電子書籍出版・冊子印刷・オンデマンド出版の5つに分けられ、選ぶときの軸は「目的」と「予算」の二つです。まずはこの二つを整理することから始めてみましょう。
本を出版する前に、まず「目的」を決める
最初に考えてほしいのは「なぜ本を出版したいのか」という目的です。理由は人によってさまざまで、研究の成果をまとめたい方もいれば、自分の人生を一冊に残したい方、授業で使う教材にしたい方、会社のブランディングに使いたい方もいます。どれも素晴らしい理由ですが、目的によって選ぶべき方法は変わってきます。
「印刷物が欲しい」のか「多くの人に読んでほしい」のか
目的を整理するとき、私がいつもおすすめしているのが、次の二つを切り分けて考えることです。ひとつは「印刷物としての本が手元に欲しい」のか、もうひとつは「コンテンツを多くの人に読んでほしい」のか。似ているようでいて、必要になる費用も手段もまったく違います。
たとえば、手元用や身近な人に配るために数十冊だけ欲しい、生徒や社員に配るテキストが欲しい、という場合は「出版する」というより「冊子を印刷したい」というニーズに近くなります。一方で、全国の読者に届けたい、Amazonや書店で普通の本として販売したい、という場合は、いわゆる「出版」の仕組みが必要になります。
「出版」と「印刷」の違いを整理しよう
次に押さえておきたいのが、「出版」と「印刷」の違いです。この二つは混同されがちですが、分けて考えると一気に見通しがよくなります。
ざっくり言うと、印刷物を作るだけなら「印刷」、ISBNを付けて販売チャネルに載せるところまで含めると「出版」です。冊子形状の印刷物を手元に置きたいだけなら印刷会社に頼むのが最も安く済みますし、書店やAmazonで販売できる状態にしたいなら、ISBNやバーコードの付与、書誌情報の登録、流通の仕組みまでが必要になります。
「本をつくること」と「書店で売れ続けること」は、いったん分けて考えてみましょう。本を作るだけなら印刷で十分ですが、販売まで見据えるなら、印刷に加えて出版の仕組みまで含めて準備することになります。
誰に、どこまで本を届けたいのかを考える
三つ目に大切なのが、読者と販売範囲です。「本を出版したいけれど、知っている人にだけ配りたい」という方も少なくありません。
この場合の選択肢は大きく二つに分かれます。ひとつは、セミナー配布用テキストや社内資料、家族に贈る記念本のように、知り合いにだけ配る前提で印刷する方法。もうひとつは、Amazonで購入できる状態にしておき、書店からも取り寄せられるようにしつつ、基本的には身近な人へ向けて作る出版方法です。どこまで本を広げたいのかによって、「印刷で十分」なのか「出版サービスを使うべき」なのかが見えてきます。
どれくらいの予算で本を出版したいのか
四つ目のポイントは予算です。費用の感覚は方法によって大きく違うので、おおよその目安を持っておくと判断しやすくなります。
商業出版は著者の費用負担が原則ゼロですが、その代わり出版社が売れる見込みのある企画だけを採用します。自費出版は著者が費用を負担する方法で、数十万円から百万円前後かかることも珍しくありません。電子書籍出版は原稿さえあればほとんど費用をかけずに出せることもあります。オンデマンド出版サービスは、少ない初期費用でISBN付きの紙の本を出版でき、在庫を抱えずに販売できるのが特徴です。なお印刷会社に頼んで冊子を作る方法は、あくまで「印刷費」であって「出版費」ではない点に注意してください。
見積もりを見るときは、総額だけで判断せず、編集費・デザイン費・印刷費・流通費などに分けて考えると見え方が変わります。予算の上限を決めずに話を聞くと、思っていた以上の金額が出てきて戸惑うことになりがちです。「ここまでなら出してもよい」という金額を、先に決めておくことをおすすめします。
代表的な本の出版方法5つと費用の目安
ここからは、「本を出版する方法」として候補に挙がる代表的な5つを、費用の目安とあわせて整理しておきます。
1. 商業出版(費用の目安:原則0円)
出版社が企画・編集・販売を担い、著者の費用負担は原則ありません。書店流通が前提で、編集や販売のノウハウを活かせるのが強みです。一方で採用までのハードルは高く、出版までに時間もかかります。多くの読者に届けたい、講演やメディア出演につなげたいといった狙いがある方に向いています。
2. 自費出版(費用の目安:数十万〜百万円前後)
著者が制作費や流通費を負担して出版する方法です。内容やデザインを自由に決めやすく、確実に紙の本を出せます。ただしまとまった費用が必要で、部数によっては在庫を抱えることもあります。記念本だけでなく、流通に載せて販売するタイプの自費出版もあります。
3. 電子書籍出版(費用の目安:工夫次第でごく少額)
印刷費や在庫が不要で、すぐに販売を始めやすいのが利点です。紙の本が手元に残らない、電子書籍に慣れていない読者には届きにくい、という面もあります。「まずは反応を試したい」「コンテンツを多くの人に読んでほしい」という方には有力な選択肢です。
4. 冊子としての印刷(費用の目安:部数に応じた印刷費のみ)
必要な部数だけを印刷する方法で、少部数なら比較的安価です。セミナーや授業用テキストに向いていますが、ISBNがない場合は書店販売ができず、在庫管理も自分で行うことになります。「出版」というより「印刷物としての本が欲しい」場合に向いています。
5. オンデマンド出版サービス(費用の目安:少額の初期費用)
注文が入ってから一冊ずつ印刷するため、在庫リスクを抱えずに済むのが特徴です。ISBN付きの本としてAmazonや楽天ブックスで販売でき、書店取寄にも対応できる場合があります。大量に配る用途では印刷専門サービスの方が安くなることもありますが、「紙の本としてきちんと出版したいけれど、自費出版ほど大きなお金はかけたくない」という方には現実的な選択肢です。費用を抑えてISBN付きの紙の本を作りたい場合は、たとえば MyISBN のような自己出版サービスも選択肢のひとつになります。最新の費用や条件は公式サイトをご確認ください。
本を出版するまでの簡単なステップ
方法によって細かい流れは異なりますが、多くの方に共通する大まかなステップは次のように整理できます。まず目的と読者を決め、次に出版方法を選び、予算と部数を決めます。そのうえで原稿と表紙を用意し、最後にサービスを比較して申し込む、という順番です。
表紙デザインを自分で作るか、デザイナーに依頼するかも、この段階で考えておくとスムーズです。サービスを選ぶときは、料金だけでなく実績やサポート体制もあわせて確認しておくと安心できます。
まとめ:本を出版する前に4つのポイントを確認しよう
改めて整理すると、「本を出版したい」を具体的な行動に変えるために、最初に確認してほしいのは次の4つです。なぜ本を出版したいのか(印刷物が欲しいのか、多くの人に読んでほしいのか)。誰にどこまで届けたいのか(広く販売したいのか、知り合いに読んでほしいのか)。どれくらいの予算で出したいのか。そして、どの出版方法が自分の目的に一番合っているか。
大切なのは、あなたの目的に合った形で、無理なく本を届けることです。目的と予算に合った方法を選べば、研究成果の本も、自叙伝も、ビジネス書も、授業で使うテキストも、きちんと形にできます。あなたが思い描いている「本を出版する姿」を具体的な計画に変えるために、この記事を役立てていただけたらうれしいです。